ナンシンボンド4

ナンシンボンド4

 さて、祭りも終わり村はいつものひっそり感につつまれた。

 マスター立ちの後に続き、家に向かう。
 途中、クティリバ叩きにたばこを半ば強引に購入させられるのも
 お約束だが、もう一つ大事なお約束があった。

 村で唯一のパン屋にいってパンを予約するのだ。


 家路に着くと、相変わらず広場に椅子を出して皆で座った。

 軽く談笑していると、あたりはいつの間にか暗くなり太陽の
 代わりに月が出ている。

 これが明るいのだ。
 大げさに言えば昼とあまり変わらない。
 ヤシの木の上に見える満月は、日本と同じはずなのに違って見える
 のが新しく面白い。
 雰囲気とは視覚だけでなく、外の香りで決まるのだろうと確信した

 アフリカの村の香りは独特だ。
 何とも言えない土臭さなのだが、懐かしいような感じもする。
 カヤイに関して言えば海から遠く離れているのだが、まさにそんな
 匂いだ。
 香りの主成分はなんと牛糞な気がする。
 ものすごい乾いているので臭くないが、干し草に土が混じったような
 匂いなのだ。
 
 昔の日本の村もこんな匂いだったかもしれないな。とおもっていると。
 都会のマスターが予約しておいたパンを買ってきた。

 これがうまい!!その名も

 「タパラパ」

 硬いパンはこう呼ばれるらしい。
 西アフリカでごく一般に見かけるバゲットのことだ。

 が、カヤイのタパラパは一味違う。

 どこがちがうか。
 先ずはサイズだ。都会で見かけるパンは皆大きく硬い。
 朝はこれに豆の煮たやつだとかアボカド、肉なんかをはさんで
 マヨネーズ責めにしたやつを食う

 カヤイのは小ぶりで少し白くフカフカもちもちなのでパンだけ
 で十分うまい。

 夜、外の椅子に座りタバコフカし、ヤシの間から覗く満月を眺め
 ながら食うタパラパは

 「プライスレス」

 といっても過言ではない。
 アフリカの村に行くと豊かさとは何ぞや?
 と、いつも考える。

 というのも、人類の原点のような雰囲気を村自体が醸しているし
 空気感や時間の感覚もいつもどおりではない。
 住めと言われたら分からないが、やはり、そうしてみたいなと思う
 節があることもまた事実である。

 都会は時間とモノを引換にする生活だが、引換にするモノが食べ物
 最低限の身の回りの物以外、そう溢れていない村においては

 考える時間と楽しむ時間が与えられる。楽しめるかどうかは
 人それぞれだろうと思う。

 サリフケイタの歌詞に

 「時間は創造と楽しみのためにある。」

 というのがあったが真にそのとおりである。
 うちのバンドではこの歌詞をサリフが歌うたびに
 盛り上がっていた(笑)
 ナンシンボンド2で紹介した一日中空を見上げているじいさん
 もあれでいてナカナカ楽しんでいるのではないかというのが
 この旅の自分的な結論になった。

 いやー旅ってホントにいいもんですね。

 勿論、プライスレスですね。
 
 写真は都会のマスター!ありがとう!
 


                      おしまい